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交通事故の慰謝料の算定方法

  • 文責:弁護士 井川卓磨
  • 最終更新日:2023年4月6日

1 慰謝料請求権の発生

交通事故の被害者は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。

その損害賠償のひとつとして、事故により負傷した被害者は、精神的苦痛を理由に加害者に対して慰謝料を請求することができます。

なお、物損(車両の損壊等)に関しては、原則として慰謝料は認められないとされています。

ただ、家族にとってはかけがえのない存在でありながら、法律上は「物」として扱われているペットが、交通事故により死亡または死亡に匹敵する重い傷害を負ったことにより精神的苦痛を受けたときなど、例外的な場合にのみ、物損に関する慰謝料を請求することができます。

2 慰謝料の算定方法

人身事故に関する慰謝料の算定には、2つの基準があります。

1つは自賠責基準で、自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」といいます。)の基準です。

もう1つは裁判基準で、裁判所において訴訟をした場合の基準となります。

⑴ 自賠責基準

自賠責基準は、自賠責保険の支払基準です。

自賠責保険の支払基準は、「慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。」とした上で、「慰謝料は、1日につき4300円とする。」(令和2年3月31日までに発生した事故については、1日につき4200円)と定めています。

実務では、①実際に通院した日数(実治療日数)を2倍した日数と②治癒または症状固定までの通院期間のどちらか少ない方の日数に、4300円(または4200円)を乗じて算定されることが一般的です。

例えば、実治療日数が20日、通院期間が90日であった場合、20日×2=40日<90日であるため、慰謝料は、4300円(または4200円)×40日=17万2000円(16万8000円)と算定されます。

⑵ 裁判基準

慰謝料は、被害者の精神的苦痛を慰藉するものとして請求することになりますが、精神的苦痛を金銭に算定するための明確な基準はありません。

そこで、日弁連交通事故相談センター東京支部が毎年編集・発行している「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)という書籍が参考になります。

赤い本には、過去の裁判例の分析から算出した、入通院期間に応じた慰謝料の算定表が掲載されています。

算定表は、原則として用いられる別表Ⅰと、負傷がむち打ち症で他覚所見がない場合、軽い打撲・挫創(傷)等の場合に用いられる別表Ⅱが存在します。

交通事故実務では、この算定表の金額は、民事訴訟における慰謝料額に近しいものであると扱われています。

赤い本の入通院慰謝料算定表は、実治療日数ではなく、入通院「期間」に応じて慰謝料を算定しています。

「通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ、実通院日数の3.5倍程度(別表Ⅱでは3倍程度)を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある。」とされていますが、これは、例外的な扱いであることに注意が必要です。

かつては、別表Ⅱの慰謝料について、「慰謝料算定のための通院期間は、その期間を限度として、実治療日数の3倍程度を目安とする。」として、通院が長期にわたらない場合であっても、実治療日数の3倍を限度としていたのですが、同基準により算定した慰謝料の金額が、裁判実務と乖離していたため、基準が見直されたという経緯があります。

実治療日数20日、通院期間が90日であった場合、赤い本別表Ⅱを用いて慰謝料を算定すると、慰謝料額は53万円となり、上記の自賠責基準の約3倍となります。

3 弁護士が代理人となる意味

被害者が、自ら示談交渉をする場合、加害者側保険会社は、自賠責基準による慰謝料を提示してくることがほとんどです。

上記のとおり、自賠責基準の慰謝料は、裁判基準よりも低額となる傾向にあるため、十分な救済が受けられなくなります。

弁護士が代理人として交渉する場合、裁判基準を元に慰謝料を算定し、加害者に対して請求します。

加害者側保険会社は、弁護士が代理人として就任している以上、裁判基準と乖離した金額を提示すれば、訴訟になりかねないと考えるため、症状や相手方保険会社にもよりますが、裁判基準の9割前後の金額で和解ができることが多いです。

4 交通事故のご相談は当法人へ

上記のとおり、交通事故慰謝料は、弁護士が代理人となった場合、増額できる可能性が高いです。

また、当法人は、多くの交通事故案件をご依頼いただいており、様々な状況に対応するノウハウを蓄積しています。

岡崎市近郊にお住いの方は、一度、当法人にご相談ください。

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